2010/10/05

ピーク分離プログラム

real time FT-IRで紫外線硬化樹脂の反応速度を解析しています。紫外線硬化樹脂は溶媒を含まないため試料のモル吸光係数が高く、アクリレートのピークがしっかりとベースラインまで分離された状態で測定を開始することは容易ではありません。例えば、下の図のようにアクリレートのC=Cに由来する1630 cm-1のピークは、アミドやカルボニルのC=Oとカップリングしてしまいます。このようなときに、ピーク分離を行うとスペクトルの解析が容易になります。

そこでreal time FT-IRで測定された大量のデータを一括して自動的にピーク分離を行うプログラムを作成しました。このプログラムは、複数のガウス関数でピークやショルダーを表して、Levenberg–Marquardt法で測定されたスペクトル形状にもっとも合うように各ピークのピーク位置、高さ、幅を決めるプログラムです。

図 ピーク分離プログラムで分離されたピークとその重ね合わせによって得られたスペクトル


実行環境はMATLAB7.1でOptimization Toolboxのlsqcurvefitという関数が必要です。また、入力ファイルはBruker Optics VERTEX 70のOPUSが出力したスペクトルのdptフォーマットです。

dptフォーマットは、
波数1 吸光度(時刻0) 吸光度(時刻1)  ....
波数2 吸光度(時刻0) 吸光度(時刻1)  ....
...
です。