2019/05/12

電話

う~ん。今日は久しぶりの友人から電話があり,米沢のことを思い出したりした。米沢のいいところは横のつながりが楽しいこと。

また,今日はTTの調書の修正要請があり,細かな作業が続いていた。外部審査委員の先生をどうするか,これってもっとよく考えなければいけないことのような気がするが,フィーリングでお願いしてしまった。大丈夫だろうか。

今週土曜日からアメリカなのだけど,出発直前になって,旅費に関して,大きな修正が入って,困ったなと,どうしようかと,考えている。

それに加えて,明日までに10,000字の原稿を仕上げなくてはならない。いま,317字なので,進捗率は,3%だ。わるくない。

化学工学会の口頭発表件数がすごく少ないように感じた。あと,スライドは英語という決まりらしい。化学工学会,大丈夫かなあ。求心力が落ちている気が。

なんというか,最近思うのは,日々の積み重ねがとても大事ということ。一足飛びにはなかなかできないし,運よくできたとしても,飛び越した分は,いつかやらないといけない。

大きな研究費で設備を買いたければ,皆を納得させるだけのデータをどうにかして,取らなくてはいけない。

このように,文章の末尾が,「い」で終わる分を書いているときは,いまひとつ頭が回っていない時だな。

3月は別れの季節。静まり返った研究室を見ていると,しばしの安らぎを感じる。

さて,書くか。

引用回数と政策

中国のシンポジウムに行くと,国からお金が出ているなぁと感じる半面,そういう恩恵にあずかれるのは,ごくわずかの研究者というのも事実で,日本ほどにすそ野が広いわけではないのでは?とも思う。

韓国の研究者と話した時は,企業に大学の規則的な現象解明の研究が企業が抱える問題の解決に役立つということをいかにconvinceするか,マネージャーの意識を10年単位で変えていかねばならないと言っていた。

論文引用数は,コミュニティを作って,そこで,相互引用すれば,簡単に上げられるのではないか。荒っぽく計算すれば,10グループで各グループ年間10報で1報につき100回の引用が稼げる。

1グループに年間1億円投下して,PD5人雇って,年間各人2報書かせればいい。10億のPJを100個やれば,引用回数なんて,上げられるはず。実際,中央集権的な中国はそういうことをやっているでしょうに。日本みたいに実用化,社会実装など言わずに,ひたすら論文を書かせればいい。

問題は,長期間にわたり,学者の論文という成果物にファンディング側(政府など)が我慢して意味を見出せるかでしょうけれど。政策目標自体が,引用回数の向上であればわかりやすい。

研究の内容がよくわからない予算付けする人が,客観的に論文という成果物の価値を測れる指標が引用数であり,これを増やすには,上記のような政策で大体行けるだろう。

日本じゃ無理だけどね。そんな金はない。が,いずれ中国も金はなくなる。論文書かせても金にはならんわけで。論文を金にするのは,また,違う才能の人が必要だし。

2019/03/06

Python pip

Windows 10でpythonでパッケージを追加する際に、pipを使うことになる場合がある。
こんなときは,windows powershellを管理者モードで立ち上げないと,pipなどをインストールできない場合がある。そりゃ,管理者権限いるわな。

二つの軸とトーラス構造から自身の研究テーマを考える

 さて,研究総覧の巻頭言ということで,少し抽象的に研究テーマについて考えてみたいと思います。まずは,私が学生だった頃に,研究室のガイダンスで大嶋正裕先生(現京都大学工学部長)の恩師が高松武一郎先生(京都大学名誉教授)に教えていただいた研究における二つの軸について紹介します。
 研究における二つの軸とは,図1に示される基礎研究軸と応用研究軸の二つです。
 基礎研究を横軸に取ると,右に進むほど基礎研究を深める研究になり,左に行くほど非基礎研究を深めることになります。縦軸の応用研究でも同様に,上に伸びるほど応用研究を深める方向に行き,下に行くほど非応用研究を深めることになります。
中学校の数学で勉強したグラフの象限という言葉を使うと,第1象限は,基礎かつ応用研究のテーマです。このようなテーマを設定できた研究者は多くの研究費を獲得して画期的な成果を学術的にも産業的にも出していくことが期待されています。第2象限は,非基礎かつ応用研究のテーマです。基礎的な研究基盤を踏まえて,あるいは応用が急がれるテーマであり,中身はよくわからないが,ビジネスチャンスを逃すまいと研究を加速させているはずです。第3象限は,非基礎かつ非応用のテーマです。このテーマは「将来何に役立つかわからないが,研究者の興味のままに行う。」という萌芽的な側面と,研究テーマとしてはピークアウトしていて,過去の惰性で研究が進んでいるテーマの二つの場合が多いです。国プロなどの大きな予算がつぎ込まれているテーマは,多くの人々のコンセンサスを得るために後者の傾向がどうしても強くなります。第4象限は,基礎かつ非応用のテーマです。宇宙のしくみや深海の謎を探ることや純粋数学や理論物理学のテーマが多いはずです。
 基礎か非基礎かあるいは応用か非応用かは研究者によってそれぞれの尺度が違います。基礎研究⇔応用研究という単純な一つの軸で物事を捉えるのではなく,基礎-非基礎と応用―非応用の二つの軸で二次元的にテーマを捉えることで自分の立ち位置がより明確になるはずです。
 また,工学分野の研究者が第1象限のテーマを設定し,左回りに経産省寄りの応用研究を展開していくか,右回りに文科省寄りの基礎研究を展開していくか,あるいは,テーマの有効性が急激にシュリンクしてしまい原点を通って第4象限に陥ってしまうか,は研究者の手腕にかかっています。一流の研究者は複数のテーマでバランス良くそれぞれの象限のテーマを設定しポートフォリオを形成しリスクヘッジしています。
 さて,次はトーラス構造について触れましょう。トーラス構造とは,図2に示す通り浮き輪 のような構造をしており,トーラス上のある点からいかなる点を歩いても出発点に戻ることができます。しかし,トーラスの中心Oにはたどり着くことができません。
今,トーラス上の点PからAについて研究を開始していきます。トーラスの中心Oに向かって進むほど真理にたどり着けると考えます。Aについて研究を進めると,だんだん真理に近づいていきますが,研究費や人員など様々な制約でOにはたどり着くことができず,一回りして,次にBについて新たにテーマを立てます。しばらくすると,また,研究は行き詰まり,トーラス上のループをたどり元に戻ることになります。A, B, C …とテーマを積み重ねれば,Oにたどり着けるというものではなく,このような研究をしていても本質的なことは何一つできず,ただ時間とお金を浪費するだけの研究者や研究グループになりかねません。
 自分が立てた仮説に基づく研究テーマが存在するフィールドがトーラス構造なのかどうかは,研究を始めてみなければわからないでしょう。しばらく研究を続けてみて,過去のデータを整理する中で,自分のいるフィールドがトーラス構造なのであれば,真理に近づくために研究のやり方を変える必要があるでしょう。真理に近づくことが研究の目的であれば,の話ですが。
 最後に,二つの軸とトーラス構造の話をまとめてみたいと思います。二つの軸では,基礎研究と応用研究の対義語として非基礎研究と非応用研究があることを紹介し,研究テーマの位置づけを考える必要があると説明しました。二つ目のトーラス構造では,自分のいるフィールドがトーラス構造であれば,真理にたどり着くことができないことを説明しました。
実は,トーラス構造は位相幾何学的には(コンパクト)二次元多様体と呼ばれており,トーラス上には2次元平面しか存在しません。すなわち,図2の点P上に研究の二つの軸を貼り付けることが可能です。すると,興味深いことに,基礎研究の軸も応用研究の軸もトーラス上を1周して元の点に戻ってくることができます。つまりは,基礎研究と非基礎研究あるいは応用研究と非応用研究のどちらも研究のサイクルの中では相対的なものでしかないのです。研究者自身がいま研究はどういう状況(基礎か,非基礎か,応用か,非応用か)にありどこに(基礎か,非基礎か,応用か,非応用か)向かっているかをはっきりと認識しておかないと,トーラス上で道に迷うことになりかねません。何が基礎で何が応用か,何が真理であるかを示すことが研究者の仕事であり,人間にしかできないことです。
 巻頭言としてはやや哲学的なテーマを取り上げてしまいました。混とんとする世界情勢と競争が激化する研究環境において,戦略的に研究を考えるためには現状認識が最も大切ですので,その一助となりましたら幸いです。

2018/08/29

新井紀子著「AI vs 教科書が読めない子供たち」


読解力

最近は,メールやらSNSばかり読んでいるので,書く力や読む力が衰えているなと,感じていて,以前よりも読書をしようと心がけています。

Amazon Kindleを使って電子書籍になったものを新幹線での移動中や就寝前に読んでいます。Kindleの良いところは何冊もの本を論文とともに持ち歩けるところだけれど,「この本面白いから読んでみな。」と人にあげることができないので,半径3m以内で,感動を共有しにくい,かなと思っています。

私は読む速度が遅いので,読書はかなり苦痛なのだけれど,久しぶりに夢中になって読んで,昨日読み終えた本が,新井紀子著「AI vs 教科書が読めない子供たち」でした。内容は,Amazonのレビューとかを参考にしてもらえれば,良いと思います。昔から読書感想文は苦手で,ようやくや内容説明をするほどの能力はありません。

この本はなにが面白いって,学者が自分に向けた本質的な疑問に真正面から向き合い,周りを巻き込み,研究PJを推進し,ついには社会に役に立つ研究にたどり着いているというところです。

法学部出身で,海外の大学院で数学の学位を取られたという文理融合の経歴を持たれている著者ならではの,文章を読んで,意味が分かる,意味を伝える,ということの本質と,日本人の読解力の現状とAI技術の台頭による雇用や社会不安への見通しなど,世の中の役に立つ研究を一から立ち上げるということはどういうことなのかを考えさせられる本でした。

作中で著者にはお子さんがいらっしゃるということで,母親としての母性を感じられるところも随所にあり,不肖(と称されていましたが)東ロボ君の開発と子育てがリンクしていました。AIは数学なのだから,数学で表現できない人間の活動はAIに代替されない。シンギュラリティ―は来ない。しかし,当の人間の能力がAI並みに落ちているという指摘はとてもインパクトがありました。うすうすわかっていたけれど,データで示されて納得してしまいました。

私は,大学の要請で,移動現象論基礎や流体力学などの講義科目で,数式を使って自然現象を理解させる講義を100%英語でしています。100%英語とは,板書,口頭での説明,教科書,テストの問題文などがすべて英語です。最近は,専門用語の日英対訳や講義時間の10分程度は日本語で復習しますが,講義全体を通じてほぼ英語です。大学の方針で,講義科目の50%は英語化しなくてはならず,みなさん努力されています。講義室に居る数人の留学生は理解しやすいようですが,他の学生は,学習があまり進まないようです。

大学生にとって,英語は大学入試の受験科目であり,英語ができること≒英語のテストの成績が良い,ということだと思います。しかし私の講義のように英語をツールとして,専門知識を学習する講義では,英語+専門書を読みこなす高度な読解力が求められます。教科書を読んで理解することを英語でやらないと,単位が取れません。専門科目ですので,日本語の読解力が低ければ,英語の平易な構文で書かれた内容も理解は難しいです。そこで,テスト前にテスト対策の特別講義を日本語でやることで,テストに解答できるようになり,2/3くらいの学生に単位を授与できるというわけです。では,それまでの講義は何だったんだ,とはなりません。上位10%くらいの学生は英語での講義をおおよそ理解しているようです。


2016/12/22

LEGO MINDSTORM EV3を研究室に導入

瀧研究室では,学生にプログラミングをスキルとして身に着けてもらうために,レゴのMINDSTORM EV3というロボットを購入しました。5台で20万円。もっと安いRaspiとかAruduinoも考えたけれど,完成度が高いのがレゴでした。







ロボットのプログラミングで学んでもらいたいのは,細かなテクニックではなくて,ゴールにたどり着くのにたくさんの方法が考えられるような問題で,アイディアをたくさんだして,試行錯誤して,ゴールに早くたどり着く力を養ってもらいたいからです。

研究の世界では,アイディアを試したいけど,リソースやお金,時間の制約がたくさんあるのが,現実です。限られた時間で,できることは常に限られています。そのような環境下で,最適な選択ができた人たちが,大きな成果を得られるのが研究の厳しさであり,面白さでもあります。

レゴは,その制約がほとんどない。いわばハイテクの砂場です。自分が思いついたアイディアを,ブロックで組み立てたり,すぐにプログラムしたりして,ロボットを動かせば,試したアイディアがよかったのか悪かったのか,すぐわかる。よかったらさらによくするにはどうすればいいか,考えればいいし。悪かったら原因を追究するために,また,新しいアイディアを考えればいい。

こういう経験を通じて,自分でアイディアを考えて,挑戦するマインドを自分の中に構築してもらいたい。少ない試行回数で,無数の選択肢から,一番良さそうなものを選び取っていき,ゴールに早くかつ正確にたどり着くスキルを養ってほしい。

これからは,AIに使われるか,AIを作るかで,年収が10以上違う時代になるはずだから,AIにできないことを人間は伸ばしていかなくては。

がんばれ,瀧研の学生たちよ!


2016/06/26

Carbon 3D CLIP

先日のフォトポリマーコンファレンスでCarbon 3Dの招待講演がありましたが,久々にその会社のホームページを見てみると,技術の進歩に驚くばかりです。

これまで,3Dプリンターといえば,造形速度が遅い,光沢面がでない,強度が低い,などおよそホビーの域を出ないものでしたが,Carbon 3D社のCLIPという3Dプリンターはこれらの問題点を克服しています。

とくに材料面でのヴァリエーションが増えており,近いうちに複合材料などへの展開も完了するのでしょう。

射出成形に取って代わる3Dプリンターが現れたと言ってもよいと思います。たしかに,ピースあたりの成形時間は,射出成形が速いですが,Carbon 3D社のCLIPは型締め圧が要らないのでフットプリントが小さく,狭い面積にたくさんの装置を置けます。それも安く。

工場の生産個数 = 成形時間 × 装置数
射出成形機     短い   × 少ない
Carbon 3D     CLIP 遅い × 多い 
がスケーラブルになっています。

日本の射出機メーカーや材料メーカーは,
この技術について,真剣に取り組むべきだと思います。