NEDOの産業技術研究助成事業から補助を受けて研究させていただいている「UV硬化樹脂の光誘起相分離を利用した革新的フレキシブル低誘電率膜成形プロセスの開発」の研究成果を新聞に載せていただきました。
日刊工業新聞の記事
正直申し上げまして、まだまだな研究成果ではあるのですが、ご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください。
フレキシブル基板やフレキシブルケーブルの基材の低誘電率化は高周波数化への対応としてこれまでにも多くの研究例があります。特にポリイミドの低誘電率化については、化学構造の改良と多孔化のための研究開発が続けられてきました。多孔化では、材料を軽量化することにより著しい低誘電率化を実現できますが、同時に機械的強度の低下、耐湿性の低下、密着性の低下などが起こります。
また、実際に実装メーカに使っていただこうとしても、実装メーカは分布定数形による電気回路の設計技術で高周波化により発生する様々な問題を解決されているので、様々な物性の低下が起こる材料はなかなか採用してもらえないのが現状のようです。
また、高速・大容量通信のための高周波数化が必要と考えられていますが、光インターコネクトや機器内無線技術など銅線でつなぐよりも時として高いスループットが得られる電送技術も開発されています。
こうした中でフレキシブル低誘電率膜に実装された導線で高速・大容量な伝送を行うための材料製造プロセスの開発の意義を考えていかねばなりません。光も無線も結局は電気信号に変換されるので、信号は銅線を通るのだから、低誘電率化は王道であると私のメンターは教えてくれています。銅配線が光や無線に敵うためには、コストと小さな実装空間そして設計の容易さなどがあげられると思われますが、孔を開けたことによるメリットがデメリットを上回るように、デメリットの克服とアプリケーションの創成も必要になってくるものと考えています。