2015/02/15

高分子の構造と物性

高分子の物性と構造という本が、講談社から出ています。
松下先生、佐藤先生、金谷先生、伊藤耕三先生、渡辺先生、田中先生、下村先生、井上先生という日本の宝のような人たちが溶液論から固体物性まで熱く語っています。教科書から熱さがこみあげてくる本てなかなか出会えないものですよね。
緩和時間が長いというのは、じっくりやる日本人の気質には合っていますね。
本文の内容については、また、後日感想を述べていければと思いますが、 「おわりに」に面白いエピソードがありましたので紹介します。 当初松下先生に遠藤先生から執筆の依頼があった時に、「式を使うな」という要求があったそうです。いかにも、化け屋らしいです。しかし、幾多の葛藤の末に、執筆者たちは、「この分野の学術を真に記述するためには、基本的な式は避けられない」というみごとな、それもごく当然な結論に至り、開き直り、この大作が出来上がったそうです。構造物性屋の心意気を感じます。構造物性こそが高分子の本流です。
話のレベルが下がるのですが、 学生への研究室紹介というのがあり、 ふと研究ってなんだろうと少し考えました。 以下の図のように、掘り下げる研究と広く浅く(水平展開)する研究があって、 研究室の中で両方行えるといいだろうなと、改めて思ったわけです。 ポイントは、その割合ですね。どうしても水平展開がやりやすいのですが、 深く掘り下げないと、研究領域は広がりませんね。
research

2015/01/16

科研費取れないとクビというテニュアトラック教員の現実

科研費取れないとクビというテニュアトラック教員の現実

あんまり暗い話ではないんですよ。

各大学は科研費を申請させることに躍起になっています。
正確なソースは知らないのですが、

科研費を申請した教員の数÷科研費を申請する資格のある教員の数≦1

が文部科学省からくる運営交付金に掛けられて交付されるからです。
つまり、科研費ださんと、運営交付金減らすぞーという、ことですね。

さらに○○大学では、テニュアトラック予算というお金がついているのだから、任期中に科研費が取れないと、あんたらクビよ~という、労働基準法すれすれなことが密室で放言されています。これもしかたないか。

科研費って、はずれた時はあ~やっぱだめだったか、とだいたいわかるのですが、当たった時に、何でこれが当たって、前のがだめだったのかがわからんのですね。

それで、若手Bなら採択率50%、基盤Bなら25%なので、何回か出しているとあたるという持ち回りのような予算のような気もしていて、いやでも、みんなまじめに審査しているはずだし。ともんもんとした気持ちになります。

科研費が当たるということは、自分が申請した分野なり学会なりに認められたという気持ちになり、とてもうれしいのです。

しかし研究室の予算計画として、当たるかわからん科研費を考慮して予算計画を立てるよりも、企業との共同研究をやっていたほうが、財務的には安定する。企業受けのいい研究をしていればの話だけれど。

最初は企業の共同研究などでほそぼそとやっていても、だんだん成果が出てきて、分野として学会に認められてくるとうれしいものです。

科研費なんぞにとらわれず、新たしい研究分野を確立するということに、今、テニュアトラック助教やっている人には専念してほしいです。それが10年後に必ず身を助けてくれます。

2015/01/02

MBR(マスターブートレコード)障害からの復旧

愛用のLet's note CF-SX2のマスターブートレコード(MBR)が壊れてしまい、いろいろと試行錯誤しながら、なんとか復旧できました。MBRはwindowsなどを起動する際に必要な情報なのですが、ハードディスク上のたった512バイトの情報がこわれるだけで、osが起動しなくなるという恐ろしい障害です。
備忘録のために復旧方法を書いておきます。
なお、1年前に、私はlet's note CF-SX2のSSDを120 GBのものから、240GBのものに換装しています。そのため、プログラムなどがインストールされた、クローンSSDを持っているという稀有な状況です。

(1)windows 7を起動させると、biosは起動するが、その後、画面が真っ黒になり、矢印のマウスカーソルが真ん中で点滅する。
(2)ネットの情報を頼りにMBRが壊れたと診断しました。
(3)ssd120GBをlet's noteに取り付けて、ssd240を取り出しました。
(4)サンワサプライ IDE/SATA-USB3.0変換ケーブル USB-CVIDE5というケールブルをsub3.0に取り付けて、ssd120GBからwindows 7を起動しました。起動できてよかった。
(5)IO-DATAのHDC2というRAID1のバックアップ用ディスクに、ssd240GBの内容をコピーしました。使用したソフトは、EaseUS Todo Backup Free 8.0 です。
(6)ssd240GBにssd120GBのクローンを作成しました。これもEaseUS Todo Backup Free 8.0 の機能でできます。
(7)ssd240GBをlet's noteに取り付けて、windows 7を起動できました。
(8)EaseUS Todo Backup Free 8.0 では、クローンを作成すると、ssd240GBのうちssd120GBの120GBのみのパーティションが作成されていました。
(9)そこで、AOMEI Partition Assistant Standard Edition 5.6にて、未設定の領域にパーティションを作成し、cドライブのパーティションと併合しました。
(10)IO-DATA HDC2にバックアップされていたファイルのうち、必要なものを復元しました。
以上です。やれやれ。
MBRの障害であるなら、バックアップ~クローン~復旧は必要ないかもしれませんが、MBRを単独で直す方法がわからず苦労しました。

2014/11/13

研究内容

お久しぶりです。金沢大学に異動しまして研究内容を作成する機会がありましたので、こちらにも転載いたします。

プラスチックは金属と比べて柔軟性があり、軽く、安価であるため、われわれの身の回りにはたくさんのプラスチック製品が使われています。プラスチック製品を製造する民間企業は日本に2,450社(売上高5億円以上、(株)SPIインフォメーション調べ)あり、これらの会社は自動車や家電製品、日用品などのサプライチェーンを担っており、大変すそ野の広い産業分野です。日本国内の経済規模はおよそ4兆円(経済産業省調べ)です。

プラスチック製品を作る技術をプラスチック成形加工(技術)といいます。私はこのプラスチック成形加工という技術分野を化学プラントの設計・運転・保守のために体系化された化学工学の知識を活かして研究しています。化学工学では、化学反応、物質の流れ、熱の伝わりなどを体系的に扱い、数学モデルを構築し、実験とシミュレーションにより、プラントの挙動を予測したり、稼働中のプラントのトラブルを解決したりして、経済合理性にかなった設計・運転・保守を可能にしています。

私はこの化学工学の手法をプラスチック成形加工に展開し、成形現場でプラスチック(樹脂)を重合しながら成形する現場重合の一分野として紫外線(UV)硬化樹脂の硬化過程の解析と様々なアプリケーションをプロセスエンジニアリングの観点から研究しています。

例えば、UV硬化型のロールツーロールナノインプリント、紫外線を使った新規多孔ポリイミドの作製法とフレキシブル低誘電率膜への応用、UV硬化型の3Dプリンタの解析、爪に塗るUV硬化樹脂であるジェルネイルの安全性評価などを研究しています。また、二軸押出機による樹脂の改質やコンパウンディングに紫外線で分解する開始剤を使い、これまでにない機能樹脂の開発やサイクリックオリゴマーの開環重合などによる繊維強化プラスチックの開発も行っています。

基礎研究では、液体のモノマーが重合して固体になる硬化過程の速度論的な解析をリアルタイムFT-IR(フーリエ変換型赤外分光法)や粘弾性測定装置を駆使して、UV硬化により生成する三次元網目構造の数マクロメートルスケールの密度ゆらぎが硬化物の物性や、相分離(発泡)速度に与える影響を研究しています。これを発展させると、石炭中からのコークスの生成過程、火山の噴火、分岐プラスチックの発泡成形、パンやスポンジケーキの製造過程などの発泡現象を体系的に理解できるようになります。


 基礎研究からアプリケーションまで、高分子と光(紫外線)を基軸に付加価値の高いプラスチック成形加工の新たな地平を切り開いています。

2014/11/05

瀧研究室は金沢大学に移動しました。

金沢大学理工研究域自然システム学系准教授(テニュア・トラック教員)となります。化学工学系の教員に戻りました。教授も助手もいない独立研究室です。
連絡先は
石川県金沢市角間 金沢大学理工研究域 自然科学1号館 1C416
メール taki@se.kanazawa-u.ac.jp
電話/FAX 076-264-6257



2014/04/01

高分子学会年次大会にて瀧が若手招待講演

高分子学会年次大会にて瀧が若手招待講演をいたします。

完全アウェーの高分子合成・ラジカル重合セッションでの講演となりますので、もし高分子学会においでの際は、さくらで構いませんので会場に来ていただけますと大変助かります。

日時 5月29日11時15分
場所 名古屋国際会議場 
講演タイトル ラジカル系紫外線硬化樹脂の暗反応解析と硬化過程の反応工学的モデル化

今まで潜りでやっていました研究が白昼にさらされるかと思うと怖くてたまりません(-_-;)

2014/02/16

4. 博士は士業か?

これは博士(工学)の仕事について紹介するコラムです。

ついに4回目ですね。今回は博士は士業?というタイトルをつけてみました。

士業というのはWikipediaによると

士業(しぎょう・さむらいぎょう)とは、日本における「-士」という名称の専門資格職業の俗称である。

例えば、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士、海事代理士などが士業と呼ばれる職業です。医師や薬剤師(Wikipediaにはないです)も士業のようです。

このような職業の人たちは、その仕事をするにあたりたくさん勉強して、国家資格を取得して、国による必要な研修を受けた後、国による免許をもらい仕事を始めることができます。すなわち国家がそのひとたちの能力を免許という形で保証しているわけです。

そのひとに能力がなくなったり、人格的に問題がある場合は、士業を規定している法律により、免許が取り上げられてしまうこともあります。士業の免許を得た人は、よほどのことがない限り、生活の糧となる仕事を始めること(就職したり開業したり)ができます。

また、それぞれの職業に応じた特別な権限(個人情報の請求権や診断書の発行など)があります。国家資格である士業は地域に根差したとてもローカルな仕事なので、日本がグローバル化しても、なくならない仕事だと言われています。

ところで博士にも「士」がついています。ところが博士は士業ではないようです。博士をもらっても仕事はついてこないのです。では、士業ではない博士は、どうやって自分の仕事を見つければよいのかを考えてみましょう。

そうなんですよね、いい研究しかないんです。

実は、パーソナリティーの要素は大きいのですが、最初に目に入るのは3. 博士のアイデンティティーでも書きましたが研究です。

同じ分野で就職したければ 研究 > パーソナリティー
企業などもう少し広い分野で仕事を探したければ、研究 = パーソナリティー

くらいかなという印象を持っています。

この辺はまたあらためて議論したいと思います。

どうでしょう、博士になりたくなりましたか?