2010/06/24にS.M. Lindsay, Introduction to Nanoscience, Oxford (2010)という本を購入した。
1年半前に、ある大学の採用試験を受けたときにそこがナノサイエンスの研究所で、あなたの研究のどこがナノサイエンスの発展に寄与できるのかという質問をもらい、まともに答えられなかったことから、未だにその無念さとともにNanoscienceとはどんなものなのだろうと良書を探していた。
そのころは発泡成形でナノの孔を作ることに夢中になっていたので、ただサイズがナノメートルオーダーなら何でもNanoscienceだみたいなこじつけをしていた。
その後、Amazon.comなどで検索すれば何冊か入門書が見つかったが、中身がよくわからないので購入するまでには至らなかった。
NanoscienceはFeynman教授のCaltechでの講演に端を発すること、カーボンナノチューブやナノ粒子などサイズを小さくすることで、バルク体では現れない特性が表れるということくらいの知識はあったが、それらが具体的にどのような物理の法則で説明されるのかについて、数式を交えて勉強していなかった。
Lindsay教授のIntroduction to Nanoscieneは、手にとってみると、小生が欲しかったものにとても近いものであった。学部上級生から大学院生向けに書かれている。物理屋さんらしく、Feynman教授の講義をそのままAppendixに載せている。そして基礎として量子力学と統計力学を130ページあまりさいて説明している。説明はわずかな数式を交えつつ、図を多用してわかりやすく書かれている。そのあとは、SPM(走査トンネル顕微鏡)やTop downとBottom up型のナノ構造作成技術つについて、こちらも数式を交えつつ平易に書かれている。そのあとは、ApplicationについてElectronicsやナノ構造、ナノ生物学などについてこちらも必要とあらば数式を交えつつ、説明がなされている。
Nanoscienceの背景にある物理の平易な入門としてはおすすめ。